「新体系・高校数学の教科書/芳沢先生著」を参考に除法の定理の証明をやってみる。
(定理N.1:整数論)(除法の定理)
aを整数、bを自然数としたとき、
a=qb+r(0≦r<b)
を満たす整数q,rが一意に存在する。
[証]
仮定が成り立っているとする。
(存在性)
実数全体を半開区間
...,[-3b,-2b),[-2b,-b),[-b,0),[0,b),[b,2b),[2b,3b),...
で分割すると、
qb≦a<(q+1)b
を満たす整数qが存在することは明らかである。
よってこの不等式の両辺に-qbを加えると
0≦a-qb<b
となり、明らかにa-qbは整数なので、
r:=a-qb
とおくと、
a=qb+r(0≦r<b)
を満たす整数q,rが存在する。
(一意性)
a=qb+r(0≦r<b)・・・①
a=q'b+r'(0≦r'<b)・・・②
を満たす整数q,r,q',r'が存在したとすると、
r=a-qb
r'=a-q'b
となって、
r-r'=(q'-q)b
となるので、r-r'はbの倍数である。
一方、0≦r<b、0≦r'<bより、
-b<r-r'<b
が成り立つので、r-r'がbの倍数である事より、
r-r'=0
でなければならない。
よって、
r=r'
となり、①、②より、
qb+r=q'b+r'
qb=q'b
q=q'(∵bは自然数でb≠0であるから、両辺をbで割れる。)
となるので、q,rは一意に存在する。■